SPACE FACTORY 2000
シリーズ3 童話の世界 Vol.1
『白いつばさ』~アンデルセン童話「みにくいアヒルの子」より~
■会場
横浜/山手イタリア山庭園内「ブラフ18番館」
■展示
2000年9月29日(金)~10月2日(月)
■公演
2000年9月30日(土)14:00開演
2000年10月1日(日)12:00/15:00開演
■STAFF
小川 泰生 [インスタレーション]
池上 眞吾 [邦楽弦楽器]
柏原 奈穂 [声楽]
松田 存 [作詞]
花柳 ゆかし [現代日本舞踊]
■後援
神奈川県芸術文化活動団体補助
■概要
アンデルセンの童話には、彼の人生の苦悩が色濃く影を落としていると言われている。特に、ここにとりあげた「みにくいアヒルの子」には、幸せな家庭を11歳の時に父の死によって失い、その後、希望と挫折を幾度となく経験し、生涯、旅から旅へとさすらい歩いたアンデルセンの人生が随所に顔をのぞかせています。みにくい格好のためにみんなからいじめられていた“みにくいアヒルの子”が、やがて美しい白鳥になる物語は、まさにアンデルセンの一生そのままである。
もちろん、アンデルセン童話のいちばんの素晴らしさは、物語のいたるところに溢れている、素朴で優しい言葉で語られる子供の心である。美しく、しかも鋭く生き生きとした表現は、人間の真実に触れる高い文学性で、幼な子の心をとらえ、私達大人の胸にも深く沁みこんでくる。物の豊かさとは裏腹に、心の貧困が嘆かれている現代、このひずみは子供達の世界にも、イジメや暴力などの様々な形で影を落としている。
詩情豊かなやさしい叙述の中に、人間の一生を見据える厳しい人生観を忍ばせたアンデルセンの物語は、新たな世紀の幕開けに、多様な難しさをはらんだ現実を受け止めつつ、夢と希望を失わず、新しい一歩を踏み出そうとしている私たち現代人に、大きな心の糧を与えてくれるようである。